<727>

 出発と、到着と、逆にしているのではないか。そこまで大袈裟になるほど難しくもなく、かといって簡単だ簡単だというようにふわりと浮いてゆける類のものでもない。ですから途中で、こんなこと、と言って中止にしてしまう例がどこにでもあるのがよく分かる。そうすると、だから、

「こんなこと」

から始まっているということをいつも意識していかなければならないのではあるまいか、どうか。

 スラスラと進む、その軽さに向き合う。その軽さに向き合うのにうってつけだ。こんなこと、がそこかしこにちりばめられている。それを拾ったり、また新たに作ったりしている。ただの溜め息より軽く、またそれだけ軽いことが何らかの利を生んでいる訳でもないとすれば・・・。

 戦いに例えられることがある。しかし、戦いというほど過酷なものでもない。この場はずっと、止まっている気がするのだ。確かに動いているのだと、実感したようなつもりになっていて、その実わからない。混乱は的確な形を伴っては現れないのであって、また、何が混乱となり、どれを混乱と呼んでいるのかも分からない。

 苦さ、と誰かが言った。それが一番うまいのじゃないか、と私は言った。いつの間にかひろがって、ゆっくりと流れる。積極的に舐めてみる。何も含んでいないみたいなぼんやりとした顔で。

<726>

 どちらにせよ、膨らむ。あれが最後に見た膨らみかただったのだと思う、などと流れる。懸命の意味が内と外で異なってくる。困ったものだ、などと笑っていて、果たして私もおんなじではないのか。ひと踏み、次のひと踏みのために、顧みていないことがあるのではないか、などと。

 当たり前に溢れ返って、ごく当たり前だという感想を寄せている。この道々がさっきも見たものであることに驚く。変化はどれだろうか。確かに変わったところがある人に違いないが、

「うけいれます」

などという前からそこの隣へ座って、一緒に話をしていたではないか。窓の外に果たして一度見たものしか映らない、そんなはずはない、という声はどこまで大きい? どこまでも大きい? 適当に忘れていいと思い、適当に忘れただけだからいやにうるさくなって憶えていることがある。それは押し寄せる。この場面ではこの態度、であり続けるという努力様のものがあり、ただ距離を間違っているに過ぎないことでそこいらじゅうが溢れそうだ。

<725>

 「全てを見下ろそうとする場だと自覚しなければなりません」

よって、どこまでも際限なく叩きつける動きになっている瞬間にも、注意しなければならない、と。この場で、語るべきこと、立場もなにもないということを、言い訳によって表すのではない。立場もなにもないという態度が語られるのでなければならない。すると、語りによって自身何も守られなければ、何の後押しもされない。これはきっと、不在の人だろう。分からなさ、をもとにした不在の人は、言葉が何なのかを考える。伝えることが、いつもひとりでに分かれて拡がってゆく。よく見たこと、聞いたことは話さない。一体全体、企みに似たものだけが薄れてゆく。

 突然、波間に浮かぶ。隠さない、なにもない、と笑顔。ほぐしたものは何なのか。思った以上に緊張している可能性がある、と片手で伝える。迷わすものといきなりまぐわい、だいじのなかのだいじは何か。彼か、挟まった私がうつむき加減にうつろう。腕のなかを巡れ、巡れととなえる。となえたがる人たちの列で、夢なのかどうなのかが映っている。確率とともに香り豊かになっていく。空気の気持ちよさに憧れている。憧れているのが表情となってうごめいている。とんでもない話に自身を似せていると思う。反省にする、反省がある。どうやら浮き沈みのなかに急激な考えが現れる、と、ひたすらにまぶしい。まぶしさ、その強さ、だけであったりもする。自由に、そのまま、任せているのだと、語ることもある。ことどもとともにある。休息の思いを出したり引っ込めたりしている。とろめいている。

<724>

 おそらく、何耐えている訳でもないと、口を揃えて言うだろう。拍子抜け、するぐらいにあっという間に滑らか、滑り出して、いた。口々に何をか訴えている。不満の原因は何か、明確なようでいて、いまひとつ分からない。いやひとつも分からないのかもしれない。振り向かせようと、状態を変えて、次々に飛び出してゆく。不可思議な色ににじんでゆく。時々思い出して驚く。突然戻してもその後に余計なことが起きるだろうことが分かる。

 あなたにはあなたらしくの血が通っていないのかもしれない。例えば、同じ時を過ごしているはずの範囲で、逆戻り、ほんの遅れが見られる。ちょっとずつ順番に動かなければ、スムーズとは言えなくなるではないか。ひとつの集まりで押し通していると具合が悪い。

 辛抱強く違和感は表明され、違和感を見つめる目は静かである。そこここの所作だけわずかながらうるさくなっていることも、またその視線の範囲内にあって、揺れは、一体こいつはどういうつもりなのかという顔をする。どうというつもりもない。今はただ、これだけの訴えが訴えの形をなさなくなる瞬間の絵を、ぼんやりと眺めるだけなのだ。

<723>

 これは、こぶ大だ。ところかまわず握られてら。不安だ。揺れたがりに声を貸してくれよ。ひとつまみ、これから起こることの集まり、緊迫。ゆっくりと見る、動くものの後、二人して、ほほえみ。絡まりとあえて、難しい、難しさ。大音量が空洞を叩いている。響かれ、謎に似た汗。どこへ流れ出るやもしれず、いつまでも追う。追う方が、何も分かっていないで、ニ、三の発言を控える。求められ、映し気ピタリ、と、どこまでも届く小さな、ひんやりした音が、ある、あたしのなかとあなたの話のなかだけにある。誰に対する構えになる、誰が構えている? 構えている、だけで美しい。恥ずかしさ、突然放り込まれた恥ずかしさのなかで、生きている。取り囲まれた、見ていないものだけで、偶然だけで。

<722>

 足踏む。適当に足を踏む。二度足を踏む。危ぶむ。危険性。不透明と、そのころの優雅、優雅さ。前に出す。適当なところ、足とて出す、踏む、足踏む。突然、出、ない迷い。傍らから世界。傍らら、世界。夢見、突然見、二度見、二度目のことで済む。済み、足踏み。間違いなく、と、まどろみ。不在、力んでいる言葉、不在と、感覚の問題。問題視、誰かの視点。だらけた姿勢。姿勢見、よろしい。不覚、どこにでも、存在と、ある、いくつもの不在。修正と、きらめき。なごやかさ、めき、めき、畳む。畳まねば、たた、む。たた、らと、踏み足

 頭撫でかし、慰めたき。期待と、きに切り離し難し。新しい。増えたき、望み、と、とてつもない揺らぎ、揺れと。不動どころ、不動どころの騒ぎ、話をしている場合ではなし、場所はあり、ありもしないところには場所があり、流れる。流れていて、不意。流れていて、無味。乾燥、させどころ、とことんの悩み。ところでうやまいならでは、うそ、うるおいを持たせ、送り出しと、断り。言葉であり、言葉出ない。またわり、にまつわり、ついた口、触れる、ゆくり腕に触れる、しびれさし、傷口、くだのなかを巡る。巡られ、とくに見し、見えて、立てば、足。

<721>

 嘘は日の中を通る、あたしの顔とおんなじで。振れるために、ある、のと空振り。いつ、どこで見ている、なじまない嘘の顔。そっとふる、もっともらしきものがそら、ふる、ふる。

 はじけただけで、かざらない。

  かざりたい

 いつもと少しでも、違っているだけ。誰が合わせた、嘘のゆくさき。試したり、複雑に割れたり、そんな話のあとで、嘘がいたずらに、ぞろぞろと這い出してくる。

  みたい、みたい、みたい・・・

 今日あした、また数えて適当と、さみしい嘘。そのあいだ、蓄えてなお、転がる、うわさのなかを、うるささのなかを。慎重に選んだ、いっちょうらのなかを。

 指を出す。小さく音を立て、絡まる。だってあなたは嘘だから。誰に教えられるまでもなく、嘘だから。日々ふるまいのなかでやかましくなると嘘。