<2899>「秘(あ)密」

 知らない街の、

 知らない片端に、

 あたしは液として存在し、、

 どこまでも音として通る、

 どこまでも浮いていく、

 秘めていく、

 秘密がなくなるまで、、

 ずっと、ゆっくり、

 秘めていく、、

 あたしは宇宙の代わりにはなれない、

 その代わり、

 秘めていく、、

 秘めていく、

 内証の言が、、

 そのまま腹をあたためるようだよ、

 

 あなたとして、

 からだはあり、、

 からだは縦横にうつり、、

 ひたいはひらき、、

 ひたいはうつり、、

 からだにくる液、、

 あびて、あびて、、

 見つめる液、、

 あなたの圧力、、

 あなたの背景、

 またそのままそばで、、

 またあたらしい角度のなかで、、

 私が見てきたこと、

 私がそれぞれを見つめてきたこと、、

 過去を読む、

 過去をただ、透明にひらくということ、、

 あたしは畳み、、

 あたしは膨らみ、、

 しずかな水のなかで振るえる、、

 あたしはからだのみになり、

 しずかな枠の中で振るえる、、

 あたらしいひのかたまり、

 したたかな量、、

 しずかなけはい、

 しあわせな姿のなかに、、

 あたしはいる、、

 あたしはもっと溶けている、、

 あのそらの、、

 しずかにわれるところから、、

 あたしこぼれる、、

 

 ああ、

 あの、秘密の扉も、、

 あたしには無量、、

 あたしには永遠の影、、

 あきらかなヒのかたち、

 あきらかなヒのかけら、、

 あわさったヒの午後の、、

 あたたかなうめき、

 あたたかな眠り、、

 ああ、あのあたしの、秘密の量・・・

<2898>「人体と液、」

 私がしらないところではいているもの、

 まだ身体なのに、

 まだ命の、

 点灯したところだのに、、

 私は騒音に悩まされていた、、

 ひとの、

 どろっととける音がした、

 熱量がした、、

 あたしは、

 それを内に抱えていることが、何だか、

 少しずつ分かってくる、、

 だから良いとはおもわない、

 ただ、分かってくる、

 人間が違う、、

 

 私は、

 今まで見てきたものとは、

 違う場所に入り、、

 あなたを、、

 あなたをまとおうとして、

 また、

 ひたすらにとけて、、

 それで、

 いくつもの形が、、

 そこへ混ざろうとしている、、

 私には、、

 からだの違いが見分けられない、、

 あたしは、

 ふたつの意識のなかの、

 そのお前に相当するものの、

 ふたつの不快のなかへ、

 まっすぐに、

 液を沈めていく、、

 しらない、

 しらないからだがそこで揉まれて、、

 私はただ、

 真透明な肌になっているのを、、

 ここで感じていた、

 ここで感じることで、

 時間が長くなっていった、、

 液も、熱を持ち、、

 かんたんに、

 人体から垂れていた、、

 

 あなたが見守るその、、

 僅かな光線の世界、、

 そのなかに住むこと、

 そのなかに育つこと、

 そのなかで泡立つこと、、

 私は離れて、、

 過去の、

 一量のなかへ私の姿を合わせる、、

 そっとさぐる液、、

 あなたが、一量で、、

 その底を、さぐる液・・・

<2897>「この皮膚の匂いが、お前にもきこえるだろう」

 お前が心臓のそばで、

 そうして、

 はたをかけるおとをきく、、

 あたしはその、

 だれでもない、、

 中心の、

 無感の穴を、ただ、

 一心に見つめている、、

 お前は声を起こさないで何をしているの、、

 からだ、

 からだからきてくれ、、

 と、、

 ひとつ言いながら、、

 私ははてまでからだをひろげていく、、

 と、

 ひとつ言いながら、、

 

 あたしあの鼓動の、

 なかへ住んだよ、

 なかへ住んだよ、、

 ねえ、、

 しずかな感情の線の、

 その複数に走る仕方、、

 あたしは見たよ、

 あたしは見たよ、、

 どれが私の液、、

 どれがあなたの液、

 散って、散って、

 散って、散って、、

 あなたははじまったよ、

 この皮膚の匂いが、

 お前にもきこえるだろう、、

 お前にもこの肌の匂いが、

 きこえるだろう、

 きこえたら、、

 からだをどんどん振ってくれ、、

 ただ生まれるばかりの、

 その地表面にからだを、

 ふってくれ、ふってくれ、

 ふってくれ、、

 あなたは手のなかに混じるから、

 私と、

 私とともに、混じるからさ、、

 

 あたしのひたいのとこ、

 からだが入るとこ、、

 あたしあぶないの、

 なんの、なんの、

 あぶないの、なんの、なんの、

 わたし、

 からだあぶないの、

 なんの、

 わたし、ほどけるの、、

 うん、どうだろう、、

 僅かな液が来れば、

 それを合図に・・・

<2896>「秒の私のなかへ、染み通る」

 ひとつの悲しい方法から、

 あなたは立ち直ったのではない、、

 あなたは、

 複数の時間を持ち、

 それらが、

 よく見えてきたというのだ、、

 あなたのその声のなかに、

 住んでいるものはなに、、

 あなたの正面に、

 次々に生まれているものはなに、、

 ひとつのさわぎをなして、

 からだばかり育ち、、

 上手く呼吸する、

 あなたの複数時間の、、

 そのさなかへ、

 まっすぐに戻っていく、、

 

 まっすぐに身体が語ってくれる、、

 正面に、

 あなたの声が立って、

 壁にぶつかる、

 粒が、

 泡立ってゆく、、

 泡から世界、

 世界をみること、、

 まったく白くやかれた肌が、

 フィルムになり、

 あたしの層を少しずつ形作る、、

 あたしは呼吸がその、

 幾量枚のフィルムを通過し、、

 今、

 声に住んでいるものの身体のいくらかを、

 確かめ得たのです、、

 水も少しください、、

 あたしが記憶を招んでいるとき、、

 水はしずかに底の方へおりていく、、

 今も知らない、

 ひとつのはなやかさになって、

 水の下へおりていく、、

 あなたの粘性、

 あなたの声の態度、、

 あなたは、

 からだからはじめた、

 このいくつもの語らいを、、

 包み込む、、

 

 景色は、いまや、、

 しずかな液となり、

 十分に、

 秒の私のなかへ浸透したあと、、

 きれいに姿を消してしまった、、

 あとに残された私は、

 少しさびしい、、

 あなたは思い出している、、

 少しまだ、新しかったこと、、

 からだを、なかへ挟んで・・・

<2895>「底へ準備されるあなたの液の身体」

 あなたがひとりまたひとりと、

 水の周りをまわっていき、、

 あなたがまたふたりまたふたり、

 こんどは深呼吸をする、、

 こんだ深呼吸したあなたが、、

 からだのはてから、、

 すべてまきあげた、、

 永遠のリズム、、

 永遠の回転が、

 あなたの身体の底に、穴をアけ、、

 そこに紐を通す、、

 通された紐は、

 いまこころのなかの液を、

 縦横に受けている、、

 

 ねえ、

 とあなたが、素直に招び、、

 素直に声を成すところ、、

 かいたいの狭間で、

 私はゆっくりと、、

 水の底に潜り、、

 あなたへの点滅を、、

 ここへたくらんでいくこと、、

 それらは二重になる、

 液と、光と、

 それぞれの仕事になる、、

 あたしはほうけた一量の、、

 その確かな重さを、

 身体の自分へ、

 編成し直した、、

 そうして肉体が、

 get ready、

 get ready、、

 と、小さく繰り返すのを、

 あたしは、

 素直にきいていた、、

 この呼吸が、

 異常な熱とともに、膨れ上がる、、

 からだはどこまでも、、

 あなたにあつめられていて、

 私は、

 しずかにこのかたまりと同じになる、、

 

 ああ、

 瞬間が、瞬間が、

 近づいている、、

 あなたのなかにあつまっていたものが、

 近づいてくる、、

 あたしは表面からぼうっ、と、

 夢を見ているようだ、、

 からだあそぼう、

 からだあそぼうと、、

 一音一音が、

 ステップを踏んで、いるようなのだ、、

 なのにあなたから、、

 まだ垂れる、まだ垂れる液、下にいて・・・

<2894>「もっと、陽気な生、からだ、まだあつまって」

 もっとあたしには話、、

 それでもっと成分、、

 もっと溶けていく、

 もっと生まれていく、、

 本当に、

 持っている、、

 あたしは流れたから、、

 ずっと先まで、、

 あなたの手の中にいる、

 まだ走り出したばかり、、

 あたしは少しずつ、

 現象のなかへ溶けて、、

 あたしは少しずつ、

 現象のなかの粒と出合い、、

 

 またはじける、、

 また集まる、、

 また紋様、また違う、

 またあたらしい、、

 あなた彼のところへ来て、、

 また流れる、、

 またしらないけれど、

 また歌って、、

 また外へ、

 私を外へ、

 しずかに、

 しずかに渡していくのね、

 その感じ、

 その皮膚の感じ、

 その皮膚の感じ、

 その皮膚の生まれた感じ、、

 あたしは複複数、数時へ、、

 あたしは複時、数へ、

 からだを渡していく、

 からだからあらわれる、、

 からだ、まだあつまれる、、

 ひどくかたまる、

 ひどくはじまる、、

 ひどく笑い合って、

 ひどくたのしい、

 ひどくさかばで、

 ひどく水の動き、、

 陽気な生、

 

 からだ重なって、、

 からだまだ、

 現実のなかにまだあって、

 まだ置かれて、

 ひとつ自由になって、

 ひとつあたたまって、、

 ひとつなくなって、

 ひとつつままれて、、

 ひとつめざめて、

 ひとつ冗談の雰囲気のなかに、

 ひとつはさまって、

 記憶がひとつ、ひとつと増えていく・・・

<2893>「あらたなゆだね、微量時、微量時」

 あたしはまだ微量時に向かい、、

 静かに、

 からだの型や、

 風景や、何かに、

 歩を合わせていくこととなる、

 それから、

 わずかな隙間や、、

 くらいえきのかたまりが、、

 あなたの方法で流れてくる、、

 わたしは振り向き、

 こんだからだのさなかへ、

 ねがいをあつめてくる、、

 わたしは振り向き、

 からだのなかにひどく、

 はじまる音を立てる、、

 

 なぜといいながら、

 なぜからだといいながら、

 あなた新しい液、

 あなた永遠の興奮時、

 永遠の都へ、、

 なにや、

 千里や、、からだや、、

 水が溶けたもの、

 記憶や、、

 方向感覚の欠如が、

 私の方へ来る、、

 私はいろを失う、、

 からだを失う、、

 あらたなゆだねに、、

 私は満ちており、

 満ちたまま、、

 この地球の回転の、、

 そのさなかへと進む、、

 あたしははてにおり、、

 からだの糸とともにもおり、、

 まぶしい夜明け、、

 ながされて、、

 これが複数の身体であることも、

 確かに知りながら、

 あなたはここへ来る、、

 

 どこからまた浮かび、、

 私に伝ええるのか、

 それらは、

 しずかに分からないまま、

 あたしは糸を結ぶ、、

 あたしは身体のなかに学び、、

 これらを含み、、

 しまいには感動し、感覚し、、

 手足も動き、、

 水もなかへ来る、、

 なにも遠くない、

 しかし、、

 あたしは浴びている、、

 日が済むまでは、長く・・・