<244>

どうにもならない太陽が、黙って捨てられた。火を強制しろ、道を照らせ。照らされたその表情の上を、静かに歩く。ぼくはその遠い遠いところから来るのを控えていた。遠慮することではないさ。朝が快適だと囁く、その声は高いところを渡って、いつまでも落ち…

<243>

ノックアウトされたピッチャーが、ベンチに帰ってグラブを投げつける。何だよ、お前が悪いんじゃないか、怒りたいのはこっちだよ、そんなことはピッチャーが一番よく分かっている。でも、どうにもならない。何でお前が怒っているんだよと言われても、その湧…

<242>

窺われさえしなければ不快な気が起こらなかったのに、と思うことは多い。また、窺って不快にさせてしまうことも。以前、こういうところが欠点だと当人から打ち明けられると、そんなところ今まで気にも留めていなかったのに、なんだかそこがその人のどうしよ…

<241>

余韻を長く感じられる身体が形成されていくにつれ、長時間の観賞にも堪えられるようになっていく。これにはやはり時間がかかって、個人差こそあれど、年配の人の方が長時間の観賞に比較的向いているのもこのためであるかと思われる。 というのも、綺麗さを掴…

<240>

絶対的におかしな人はいない。おかしさはいつも相対的である。何かある、ちょっと変なところを見つけると、 「あの人はおかしいんだよ」 とすぐ切り捨てる(親しみを込めての「お前おかしいなあー」ではなく)人がいるが、そういうのを聞くのが嫌で、何故そ…

<239>

何回も何回も既に見たところを通らなくていいよ、だってもう憶えているから・・・。不思議なことに、一言一句憶えていなくとも(それが為に何度も戻るのだから)、憶えていると感じるのだ。それは何を憶えたのだ? 感じか、ニュアンスか。つまり、内容を憶え…

<238>

自分がのめっていったのは、それにのめっていくことの効用を先に知っていたからではないだろう。のめっていかない人に対し、だからその効用を説いたりするのはちぐはぐなことだし、自分がのめっている対象にもそれは失礼なことになる。そんな、これにのめる…

<237>

格上の相手に対して接近した戦いを繰り広げ、しかしあと一歩というところで格上の相手が違いを見せつけ、踏ん張ると、さすがに気持ちが強いですねえ、そこの差がこういった場面で出てしまいます、と言う、本当にそうか? 単純に実力の差が細部で出ただけでは…

<236>

俺にはこれなんだ、と決めてぐいと踏み込むとき、良いか悪いかは別として、そこにはごまかしがある。では、踏み込まないで、いつまでも不決定の状態に在り、動かないでいることの中にはごまかしがないかと言えばそんなことはなく、それもそれでまたごまかし…

<235>

何ものかより大きかったり小さかったりすることによって何かが分かってくる訳でもないのだから、分かっている存在だったり、核となるものだったりを、すごく大きな(物理的に)ものに求めたり、小さなものに求めたりしてもしょうがないのだろう。地球全体を…

<234>

気持ちの強さ(これ自体が随分曖昧なものであるというような気がするけれど)がパフォーマンスの向上に繋がるということは確かにあるだろう。ただ、物事の結果を何でも気持ちに関係させたがる(便利で、そう片付けてしまえば分かりやすいから)こともまた多…

<233>

不参加を、向うからも表明され、こちらからも表明する。おや、おかしなことになった。誰からの招待だ? 招待がなかったそうな。きょとんとするより仕方がないじゃないか。間抜けな面を曝していると、周りで怒っていた人らもつられて、主催者の方はと、不機嫌…

<232>

闊達だ。塞がらない帽子、夜通し、見ておやり。毎夜々々のエンジンは、ポコッ。夢の扉、開けるまでもない前掛けの、まだとくとくと注ぐばかりは、常磐道。切り離し見る峠、小屋の整列、あれ言わんこっちゃない。もんどり打って頭取の、投げ縄に引っ掛かる、…

<231>

事実として厳しい、あるいは厳しいところもある、これは良いとして、厳しい経験を通過したことにより、知らず知らず自分からも厳しさの方へ余計に傾いていってしまう、寄せていってしまうことがあるが、これはいけないというか、勿体ない。厳しいという感覚…

<230>

塔女房、とは申せ。不気味な谷を渡り、愛用の螺旋階段を。ひたへひたへ、おのずから忘れるところを頼むその尋常の。クリーム色に溶かされたそばで、ひとまずスケッチ、とってキャッチどのように。あやまりて引く、どこへ引くもうすべすべのそこ引く、獰猛こ…

<229>

地面は薄氷なんだ。歩いている感じに拠る理解としてはそんなところだ。ところが、これがなかなか割れないから、自分が歩いているこの地面は薄氷でも何でもないのじゃないかと思わずにはいられなくなる、というより、誘惑に引きずられるという感じもないまま…

<228>

これをしたから当分大丈夫だ、ということは絶対にないのが難しさでありまた、異様な不思議さでもある。例えば、楽しみがあったり、何の不安もなかったり、ならば大丈夫だろうと自分も他人も思うのだが、ここにはどうにも繋がらないものがある。先に不安がな…

<227>

評価をしようとすると、一旦自身の流れは止まり、何かをぐいと無理やりに拵え上げるような動きを身体がまた取り始める。この一連は何度経過しても、やはり不自然だと感じる。肯定している(否定じゃない)のに、何かいつも失敗した、余計なことをしたという…

<226>

ここで例えば、ゆったりとした服を纏うと、骨がなくなる、というより、関節などが全てふわっとなったような感覚になり、いかようにも柔らかく動ける、腕なら腕全体が、緩やかな波を描けるようなものとして現れるのに対し(半袖だと厳しい)、身体のラインに…

<225>

次第に暑くなって来、半袖、半ズボンのような格好になるとよく思うのだが、胴体に対して、腕や足が長すぎるような感じがする。相対的に見て、背は高くないし、腕や足も、人より長いという感じでもないのだから奇妙だ。つまり主観だ。どうしようもなく長い感…

<224>

ただ放り出されているだけなのに、これは最低限しなきゃいけない、何かの為に生きなきゃいけない、それでないと価値がないと否定していくのはケチなやり方だ。放り出され、吸って吐いての運動を繰り返す存在は、他者からも自身からも近寄り難く、侵し難い、…

<223>

全然その人のそのことについてガッカリしたこともないし、むしろガッカリしたなどという感想を抱くことすら忘れていたぐらいなのに、その当人から、 「知ってると思うけど、俺本当こういうところが駄目でさあ・・・」 と言われてしまうと、途端にガッカリし…

<222>

規則がある。それを皆が守る、が、たまに、忘れているのかあえてなのか知らないのか、そこに守れていない人というのが現れる。そういうとき、さりげない注意が添えられればそれで済むのだが、そこに留まらず、何か楽しいことを見つけたように、そういった違…

<221>

絶叫が静かに吸収され、それは愉快だ。空洞が紫色に響く。誰が通るとて、その場しのぎの霧雨は、止むことを遠慮しているようで儚い。ひりひりとその皮膚が、山肌を順に渡ると、どうしようもないのだよその頃の温度が、ひとつ、ふたつ・・・。泣くのだけれど…

<220>

ケチ、もう少しくれてもいいじゃない。ダメだ、もう、少しもやれないんだ。どうして、どうして・・・。進んで放棄したからか。飛び抜け、涙ぐむ山門の、からかさを通り、枯れる縁に、夜這い、気迷い。横顔を交わす只中の堆肥、蓄積。ひとたび巡り合いて、よ…

<219>

折角だからどこかに行かねば、その、行為ではなく、考え方自体に疲れるのだということに気がつくまでいくらか時間がかかった。ちょっとやそっと外に出ていく動きをするだけで、身体が参ってしまうはずもない。では、どうやって出るか。デロンと出ればいい。…

<218>

何を表しているのだ。何が表されるかは、さして重要なことではない。表したことで何かが変化していくことの方が大事なんだ。表すとき、表すことを必要とするなかれ。表され、それであれ、あれそれ。大事な問題と、大事でない問題と、どちらであるのかが分か…

<217>

やると後悔するぞ、やらないと後悔するぞ。さて、どっちに動いても全く同じだということが分かってしまったら・・・。どちらにせよ同じなら、やった方がいいだろ。いや、やらない方がいいだろ。それは、きっとどちらかにスッキリさを託しているのではないか…

<216>

人は、意味がないということ、ただ生きているだけだということに耐えられないのだ、というようなことが言われたりするが、果たして本当にそうだろうか。意味がないということ(意味とかではないということ)、ただ生きているだけだということが何となく耐え…

<215>

ただ在る、ということの否認は、自然の否定だ。それでいいんだ、ただ在るだけでいいんだと頑張ってみるまでもない、それだけのことだ。ただ在るだけだなんて・・・と軽蔑しようが、それだけのことであるというのは変わらない。作りを見ればいい。どこまで自…

<214>

私ばかりが決定していて良いのだろうか。こういう悩みはひとりで居るときには生まれまい(本当にそうか?)。グループの中に居るとき、ときには決定に積極的に関わり、ときにはちょっと引いたところで他者の決定を尊重し、とバランスを図るのが良いのだろう…

<213>

いつ決まるのか。流れていく中で、気がついたらいつの間にかその形になっている、というような仕方で決まる。そうすると、掛かっている時間的にはあっという間ではないかもしれないが、視覚的には、目を離した隙にいつの間に!ということになる。 じっくり考…

<212>

不安と好奇心とから、この人は何者なのか、という情報を求める、集める。しかし出身や職業などが分かっても、この人が何者であるかは本当には分からない。しかしまた、その人そのものに迫っていける分かりやすい道もない。例えば親しい友達などを見て、一体…

<211>

よっぽど嫌だとか、よっぽど凶暴だとかでない限り、数か月、数年と間が空いていれば、大概はニコニコ会える。毎日々々会っていれば、大概の場合は嫌になる、クサクサする。何でか分からないけど嫌だと言うとき、頻繁に会っているだけなのではないか。頻繁に…

<210>

根本条件を承認出来ない人よ、無年齢者よ。先送りが嘘だと気づいて何になるというのだろうか。無論、何にもならないさ。幸い、お前は体調を整えることでどうにかしているんだろう。疑う、というのは、そのものが一見確からしく見えていなければ出来ないこと…

<209>

眠さのあまり、とろやかに死んでしまった。よく触る左手よ。ゴツゴツと、いくらか軽やかになっている夢の身体の、昔はとても重いこと重いこと。懐かしさが現れ出たとは思えない。いつも同じ範囲に収まっているからだ。だから懐かしさがいつでもない。しかし…

<208>

生き生きとしているのと、憂鬱そうにしているのと、どちらも同じではないか。それは、あなたが元気な人でも、憂鬱な人でも、どちらでも構わないんだよ、という話ではない。どちら、というような区別もなく、同じだ(大きく括った訳でもない)。同じであるこ…

<207>

当たり前かどうか分からないが、伝わってほしいと思うこと、その欲望と、実際に伝わってしまうことはまるで違うこと、別のことなのだという気がしている。 「ほら、お前の望んだ通りじゃねえか」 と言われても、何かが違う、しかも決定的に違ってしまってい…

<206>

上から脅したり、下から脅したり、媚びたりそういうコミュニケーションの真ん中に置かれるのはうんざりなんだ。豹変じゃない。パワーバランスの調整を企図していることに変わりはない。そんなこと別にいいのじゃないか。パワーなんてことを特に考えなければ…

<205>

地黒、いろ、くろ。渡り、誰それ。肩慣らし、またらし、また減らし、みたらし。ふるふるふる夢の、地黒、いろ、くろ。高等な建築、何です? 嘘ごろ見頃その魂の、ふていふていと、ときおり見ては、それのまぐわひ、ひたらむき、抜き出し、ところでの香りの、…

<204>

結果的に徒労であったということが明らかになり、疲れてしまうのは分かるが、しかし徒労であるということ(また徒労とかではないということ)を承知していると、疲れる前から疲れている。すると結局いつまでも走れるのだが、例えばそれは食っていることに気…

<203>

例えば、金をかけずに揃えたいだけ本を揃えられたらいいな、と思う。しかし、その欲望を満たす可能性のあるような抽選が目の前に現れたとき、何故だか、 「参加しない方がいいな」 と思ってしまう(うっかり当たりでもしたら・・・)。別に、自分より困って…

<202>

受け容れる受け容れないに関係なく動けてしまう状態にいつもある、ということは、きっと悩みがあるというより、圧倒されて動けなくなってしまう瞬間があるだけだと考えた方がより妥当だという気がする。圧倒されている、あるいは圧倒されるだろうことが分か…

<201>

何かの条件を挙げる。それも、まだ自分がやっていないものを。そうして、一度でもやってしまった人達、それを経過してきた人達を、 「もう駄目だ」 と断罪する。ここには嫌な快楽が伴う。戻りようのない人達を、戻れないのなら駄目だよと言ってしまって、自…

<200>

どうしようもないだろう。どうして救われなければいけないのだ。肯定と否定を頼りにしなければいけないというところに不自由がある。完全に切り離されることを望んでいる訳でもないのだろうが、否定的な場は勿論のこと、肯定的な場にだって長くは居られない…

<199>

寝室は暗い方が好い。ようく見えない、黄色や白で不愉快だ。落ち着くことを考えたい。目で見る必要の物事、読み、書き、笑い・・・。意識の代表、それが明かりだ。明るいっぱなしでストレスだ。意図的に休め、痒みの発露。ぼうっとしてくるまでに掻くことし…

<198>

施しを受けても特に何も言わず礼もせず、施した方もそれを当たり前と思っている・・・。極端だが、ここまで行かなければならない、というより、ここまで極端でなければならない。おかしなことに見えるかもしれないが、自然がまさに自然に行うような施しに近…

<197>

誤解の満艦飾という言葉を見て、考えていた。これの解釈ではないのだが、さて、人はその人のやり方で誰かを全面的に掴むし、その掴み方に間違いというのはあり得ない、何故ならひとりひとりが世界(よく小宇宙などとも言われる)なのだから、ということを何…

<196>

今現在使ってもいないし、今後使う見込みのないものでも、そういった事情を承知して代わりに使っている人を見ると、なんとなく嫌で、また嫌とまではいかなくてもあまりいい気持ちがしなかったりする、その人が勝手にどこかに持っていったり奪ったりする訳で…

<195>

一個の人間に対して、出来事が多すぎやしないか。こんな量をとてもひとりで経過してきたとは思えない。矛盾するようだが、自分より若い人に向かって、知識とか判断力ではないところで漠然と何か、 「分かっていない」 と感じるとすれば、それは、自分より若…