2016-10-28から1日間の記事一覧

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彼にもまだ外側を見ていた時期があった。それはごくごく最初期の、短い時間で、ご褒美のデザートが間違って食前に来てしまったような感覚だった。しかし、私は普通の食事を求めている。おまんまとおみおつけと。それで良かったのだ。私は自ら勧んで絵に近づ…

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隣席の女性は、延々と話を繰り広げている。時々同意を求められるから、うん、うんと相槌を打っていた。しかし、あれだけ喋られて、何の話も憶えていないというのは不思議なことだ。隣席の女性が話している間(数学の授業前だった)、方向音痴な友人のことを…

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翌日から早速、絵の前に立った。鏡の横にかけておいたのだ。思った通り、どうやら鏡に映る自分より、描かれている自分の方が本当らしかった。これは、俺だけで見ているのは勿体ない。友達にも見せてやらなければと思い、友人を2、3人招待した。絵を見ると…

目の焦点が定まっていない。一体どこを見ているのか。見つめているつもりで、どこか違うところを覗いている。精悍な顔とは程遠く、疲れた頬が、だらりと垂れ下がっている。痩せている、というよりは、痩せさせられているという感じだ。顔が良くないという主…