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<104>

鷗外は秀麿として書いたのだから、秀麿の動きとして考えた方がいいのかもしれない、全く分離して考えていくのもおかしいかもしれないが、『かのように』に留まるのは秀麿であって、鷗外は変化していたであろうから、この作品に拘る以上、秀麿として付き合っ…

<103>

全く信じていない、あるいはその意味を全く理解していないものでも、他人が熱心に、というより当たり前のものとしていれば、別にそれを乱すつもりはないし、どうしても破らないではいられないという訳ではないから、従っている、その破綻を明らかに示すよう…

<102>

飛翔する鳥を見て、自身と混ぜ合わせることはない、ああなれたらと思うようなことも、あまりない。しかし、浮遊を受け取り、何かしらの離脱を受け取る、そういうことはあるのではないか、自信に溢れていなくとも、自信に後押しされているような力強さで、枯…

<101>

あるべき理想の状態はこうだ、例えば愛がある、愛を解して、愛に溢れて、それが備わっていない人間には欠陥がある、それが分からない人間はダメだ、と、理想の状態、完璧な状態を想定してから現実の人間を減点で見る、そうやって理想で人をほじくり回すやり…

<100>

持っているもの、これでもかという程の拒絶、一転して示す嫌悪感、こういうものを経て異常に昂奮し、それが根源的な性質、所有であるか否かは別として(そういった思い込みである可能性も高い)、それが密接であることで明らかになる成就への不向き、そして…

<99>

境界を踊った、怖ろしさと甘ったるさを一身に背負い、私がいきなり動きを止めてしまっても、驚きもしなければこちらをちらと見もしない、贅沢だ、彼らは言う、そうだ私がだ、移ろう影がそもそもの初めから悲嘆を描き出していたのか、徐々に変わってきたのか…

<98>

逃走していく、必ずこうやって通っていく方法があるんだ、それを勝手に借りもし、また、別のところで独自に見つけもし、何かから逃走していると考えてはいけない、逃走は逃走の為にあり、そうでないと、何かからの逃走では行き止まりに向かって走っているこ…

<97>

気がついたらいつの間にか、大分拡がっていたりいくらも積み重なっていることと、虚しいというのは交差するにはするかもしれないが、あまり関係のないことなのかもしれない、つまり、どうせ虚しいのになぜ積み上げられる?というのは問い方が間違っている可…

<96>

きりきりと速度を増し、いよいよ高まる拒否の念をどうすることも出来ない。愚かさに耐えられないのだ。ふざけた、可愛さを持つ馬鹿げた話ならば楽しい、が、愚劣、勘弁のならないような話、意地の悪い喋り、意地の悪い探り、自分がそういうものから免れてい…

<95>

用の論理がこれだけ密接なことにイライラする。意味なんてないんだ、という語り方をしなければならない、これは不本意だ。虚しいこと、特に遊びが即ち虚しさでもあることなどハッキリと知覚していながら、何と虚しいのだろう、と感じることがある、これも不…

<94>

説明して整理して説明して整理して、コイツはこういうんだ、どうだい、そうだろう? まあ一杯やらねえかい?ってなもんでね、どうやらそうだ、あそこでも顔を出したろう? そりゃそうさ、顔を出していないってことの意味が解らねえや、あんたをちゃんと紹介…

<93>

何かを経験しているという感じの稀薄さ、経験自体が稀薄なのではない、というよりそれが濃い経験であろうが薄い経験であろうが、どうにも私のものとは思えないという、流れを見させられているだけというのともまた違う、実際に今何かをしている、そのときは…

<92>

一言も発せられない、疑ってみる運動が全部ポーズではないと私は言い切れるだろうか、普段正しいとか正しくないとかの領域で何事も考えてはいない、と思っているが、一見関係のなさそうに見える話でさえ、正しくないかもと思いながら言葉を発し続けることは…

<91>

一番小さな世界に合わせなさい、各々が自由な時間に大きな拡がりの中で動いている、それはよろしい、しかし一番小さいところに合わせる術を持っていなければいけません、これはしんどいのが当たり前で、だから上手く付き合いながらなるべくそこには長居しな…

<90>

人物について間違うというのはあり得ないことではないだろうか、それはつまり当たるということもないのだ、ということを付け加える必要が生じるが。人物判断も正確に出来ないなんて、といくら言われようと、決して判断などはつかないのだから、人物を判断し…

<89>

時間というのは現在だけに関わりのあるものではないか、1秒前の自分が既に過去のものとなる、という考えを疑いもなく容れてきてしまったが、流れ、変化するという事実と、同一平面上(球面上か?)に在り続けるということを一緒に考えるのが難しい。変化の…

<88>

活動志向や停滞、閉塞志向は身体のものであって、思考ではないのではないか、むろん、思考も身体から来るのだが、この意味は、身体そのものがそういう動きを初めから持っているということである。つまり私にはそのどちらかに親密さ、反発を感じたり、両方を…

<87>

虚しいからしんどいというのは幾分怪しいのではないか、しんどさを感ずるときにそのように表現するのが便利なだけで、どうもそんなことには関係がないような気がしている、つまり何の価値もない、それは価値というものがあると考えて初めて実現する嘆きであ…

<86>

良いということがまず初めにある、どうやって感じているのかは分からないが、ともかくも良いと感じられるという事実があって、対象が難しかったり易しかったりするというのは、別にそれほど問題ではない。良いと感じ得たものがたまたま易しいものであったか…

<85>

つまり過去や未来というものに考えを巡らせたときのあの苦さ、それは、記憶や想像される絵によって喚起されるのではなく、過去や未来という言葉にある違和感、この場にまるでそぐわない感じから来るのではないか。ないものに振り回されて酔っ払っている、全…

<84>

過去や未来というものと、時間をいっしょくたにして考えることには無理があるのかもしれない。違う場所だったら決して見つかることのなかったものが、次々に見つかること、空間の重なりという考えが否定される。呼吸をどう考えたらいい? 膨らんではヘコんで…

<83>

何でも良いですよ、全然自由にやってもらってかまいません、それは全部受け容れるという意味ではなく、何を言われても起こされても私には何の関係もないということだったら・・・。寛容さであるか否かの見分けがつきにくい。しかし、ほのかに漂っているだけ…

<82>

見失った人、それは・・・。全員が見つめるなか、ついに張りつけずにいたその一滴が、落ちる、いや、落ちない、いや・・・。見失った目、その焦点の定まる場所は決まっている。何故だか同じところを見ている。目を合わせちゃいけない、見てますか? 覗き込ん…

<81>

別のことが可能なら、同じことも可能である。山並みを駆け、意思というものから全く脱落した境地で、今日も私は元気です、奇妙だね。何の為にそこまで意固地になって拒絶しているのかが分からないという点で、ヒクヒク笑いは正当化されるのだろうが(誰に禁…

<80>

通りを雨が誘った。限界まで落ちきって、糸の流れ、あの人を打って、とまれどうしようもなく、角に、湯気に。ぼくが進んでいるのはどういうことなんでしょうか。どういう事でもないと、そうしてざっと上がる、その瞬間が分かるから、でも・・・。陽に照らさ…

<79>

一度止まれば、止まらないことの方がどうにもおかしい。そういう訳で流れ、ざっと流れ出せば止まっていることの方がいかにも不自然。そうしてたった一滴だったものがぬむ、ぬむ、ぬむぬむぬむと染み出して、見境もなく私は前後左右に・・・。進化、一本のラ…

<78>

つまり、出来ないことによる屈辱感はもちろんのこと、何故か出来てしまうことに対する違和感、嫌悪感というのが発生することも有り得て、それは高揚感もあるだろうけれど、こうしてイメージは自由にどこまでも動いて、身体がついてきたという嬉しさ、また、…

<77>

初めてのように振る舞わなければいけないという思いだけがあって、どうやら身体は初めてではないようなのだ(どこで経験したのだろう?)。蒸発し凍結し、上に在れば下に流れる、そういうことが一度目や二度目であることはまるで関係ないのと同じように、お…

<76>

違う回路を築くといったようなそんな小器用なことではなく、ただ条件反射、発現の喜び、最後まで処理しろと言われたってそんなことには興味がなくて、うわあっという盛り上がり、そこの瞬間があれば最高なもんだから、他には何にもいらなくなった、そういう…

<75>

そして道になり、道でなかったものが道であり、道と化す、化けて出る。つまりは冗談であり、何かを経た先に到達する場所はナンセンス。おどけろ、そこが道だ、だから道化。真面目に受け取るな。冗談として取り続ける。継続と真面目さとの固い結託、その懸念…

<74>

あの人が続かなかったんじゃあない。続けさせやしないという底意地のようなものが蠢いて、ともかくもそれ以外のものとは調和していたのだから。同じ流れを踏む、物語として成立するような生を、それは義務ではない。しかし、何かを激しく揺さぶるらしく、大…

<73>

後悔は甘美だ。ある一点を変えられるとしたら、どれだけかいいだろう。そういう思いを浮かべ、きっと本当に戻れたとしてもそのことを望んでいた訳じゃなかったことは、どんなに鈍くても戻る瞬間には分かる。あそことあそこの思わしくなさを捕まえて、変えた…

<72>

意識は向かない。流れていくことが基本であり、忘れていくことが常であり、ちょっと待てと止めて、流れさした場合と何にも変わらなかったことを、納得のいかない顔で眺める。止めなければいいと思っていても、止めなければいいと思わなければ止まらないので…

<71>

不在が親しみあるものとして捉えられるのはどういう訳か。危篤という程でもない状態を聞き、急がねば、と著作へ向かう。はてな、生きているうちに読む必要(必要というものはない)というものが、何かを動かして・・・。それはひどく実在の様相を呈し、今ま…

<70>

消えてなくなる、二度と現れなくなる、こんなに自然で、違和感のないものはなく、空間の寂しさしか感じられないものもない。それに比べて、現れる、また? また? 何だ、それは。嬉しくないとは言わない、楽しいこともあるのだが、また? どうして、消えてな…

<69>

空白があれば埋めたくて、埋めることなんかないよと言ったって良いけれども、空白があれば埋めたいということが全てで、有る無しの話ではない、それはどこでないかと言えば全部がない。どこでも。何かの区切りをつけようと、締めようと、一新しようと、そう…

<68>

利かん気、そういうものが意外とぴったりくっついていた。それは利かん気、そういうものの欠如、まあ、欠陥ではないだろうそれが、他人に見られたから気づく。あまりに言われるがままに見え、どうもあそこまで不自由だとあんまりじゃないかと言いたい気がし…

<67>

心持ちが動くことに、何ら(何らと言って良いかどうか)抵抗はない。そこを固定化して、動じないぞとやるのが自由でないことは明白だろう。動きたいなら、勝手に動くがいいさ。警戒するのは、ある着地点、動きの一点に拠り所としての役割を求める気持ちが芽…

<66>

方向を変えるぐらいの力はあったろうか。それでも、目的地までは変えられない。それだけ浮いている、根を張っていない。だから、ぶゅーうと笑う。ときどき苛烈になって、怒っているようにも見える。だが、まあ大したことはない。場所は取らない。止まって話…

<65>

悲嘆はもう語れまい。嬉しさ、あるひとつの快楽がついてまわる。悲しみを打ち明けられない悲惨さ、悲惨? それも、間違いのない全的な悲惨というのはもうない。語れば、いや、語らずとも、悲しみを想い浮かべただけで、その裏にびったりとくっついた喜びが浮…

<64>

包むつもりがない。そういうことはわりかしハッキリと伝わる。他のいろいろな条件をあげつらって、あーでもないこうでもないと言い、何となく説明のついたような、どこか納得のいかないような心持ちになっているが、そして、自身に付随する条件の悪いことを…

<63>

どこから来たの? さあね、どこから来たんだか。というのも、技の限りを尽くすこと、徹底的に相手をもてなすことしか考えていなかったあの人は、何故かこの場に上手くそぐうていたのだ。 「それ以外のことなんて、全くいらないほどなのよ」 冗談にしか響かな…

<62>

無私だとか、滅私だとかいうことを伝えたとき、それが苦し紛れであったことに胸が締めつけられるような思いがする。私が掴んだものはそんなものではなかった。言葉にするということは物凄く範囲を限ることだった。無私だとか滅私だと書いてはいる、言っては…

<61>

逃げ惑う。好もしさ、そうあれという要請、止まった? 肉体の上でのことだけだ。ハッキリ去るのはもちろん、オロオロとそこいらをうろつくのも、キッパリ決めてしまうのも、何ひとつ逃げでないものがない。どこかの目標点に向かって、見失いそうになりながら…

<60>

一瞬、何かを分かりかけた。考えた末のことではない。暖められる車体の不気味な響きにひどく怯えながら、その何かを追いかけていくことが同時に遠ざけることだと知りつつも、手を伸ばさない訳にはいかなかった。埃は、指で触れようとするたびに、奥へ奥へと…

<59>

どうか、甘い考えを持っていて。甘い考えを叩きたいと思っている人が大勢いてくれるから、甘い考えを持っているくらいで丁度良い。それに、甘い考えを無くすと、活発に動けなくなるから。硬直化するんだね。 それはそれは厳しい考え、シビアな考えを持ってい…

<58>

いちどきに霧散してしまえばいい。そうして良いものだけを纏って、この場所に・・・。しかし、それは動きを否定することだ。マイナスな方向、そんな方向があるのか知らん? 分からんが、動いて、動いて、動いていって、動きがなければいいか、苦労があるよう…

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ひとりじゃ生きて行けないと言ってみたり、結局はひとりじゃないかと言ってみたり、苦労が云々恩が云々、あれの経験、この経験。愛が必要だ、意味だ無意味だ、やれ繋がり・・・。 「それらはどれもが場面々々においては確かに真実で、矛盾するようだがちゃん…

<56>

ズルについて、もう一度考えてみよう。考えてみようと始めてみたが、もう答えは出ていて、あなたが考えているズルというものを剥いでいくと、何にもなくなるのだということ、つまりズル剝けだ。 ズルの集合、ズルの結晶、それが私であって、それ以外のもので…

<55>

誰より自分が、一番よそよそしかった。確かに気持ちを昂らせてはいる。しかし一方で、これでもかというほど冷静だ。いや、冷たいとかいうような、温度すらない感じで、抜ける前からそもそも抜けていたというのが適切だ。これがいわゆるところの技術か、とい…