コミュニティの同意を得ることが、その人の一番望むところなのかもしれない

 『家族の反対だとか、そんなことは気にしないで、自分のやりたいようにやりなさい』

 『友達の評価など気にかけずに、自分が「この人だ」と思ったんなら、素直にその人のところへ進みなさい』

というようなことが言われる。

 私自身は概ね、これらの言には賛成であるし、自分の欲望を、他人の判断によって左右させるのはおかしいとも思っている。

 ただ、

「自分の欲望」

それ自体が、コミュニティ(家族や友達)の同意を得ることだ、という人だっているのかもしれないから、必ずしも、

「家族や友達の判断を気にしている人」

が、

「自分の欲望に正直でない」

とは言えないような気がしている。

 つまり、

「自分が持った直感的な欲望」

と、

「家族や友達の判断」

を比較考量したときに、後者を取ることが、その人自身、一番望むところであるという可能性もあり得るということだ。

 そういう人は、家族や友達の判断を気にして決断したとしても、自分の欲望を捨てたということにはならないのではないだろうか。