緊張と脱力

 平生の脱力に、ビビビっとした緊張が走る。骨の上で、自由に垂れさがっていることを許された肉体に、一筋の針金が通されたかのようだ。

 自然、背筋がしゃきっとする。精神も、それにつられてしゃきりとなる。制限を受けたはずの身体は、向かうべき方角を示されたことにむしろ喜びを覚えているらしい。

 またしかし、制限が通ったことに対する恐怖も込み上げる。喜ばせ続ける困難に直面する針金に、外れてしまえと罵倒が乱れ飛ぶ。

 そうして一種のうれしさを押し破った恐怖心が、通った筋を丁寧に取り外す。自由を手に入れた肉体が、骨にまかせて再びだらんと垂れさがる。