感情の出処

 嬉しい、と思う。悲しい、と思う。思うことで、なるほどこれらの感情のあることを確かめているのは頭であろう。しかし、これら感情の出処、湧きあがる地点というのは、別に頭に限らずそれぞれであるというような感じを抱いている。

 嬉しさの出処というのは、どうも鳩尾の辺りだというような見当をつけている。この附近が、初めに温かく、柔らかくなって、その温度がそこから全身へと巡っていくような体験が確かにある。

 冒頭それぞれと述べたが、悲しみの出発していく地点も大体この辺りからだろうというように感じている。また、嬉しさや悲しさとは少し違う、震えるような感動というのは、背筋の辺りを出処として、そのまま上へと巡って後頭部辺りの脳みそをじゅわっと包むように動いているような感覚がある。