目で択ぶ

 以前、『目で決まる』の中で、相性の良さは目を見れば分かってしまうというようなことを書いたが、これを私自身、今度は女性を見るときに、多少歪んだ形で使用しているのではないかということに気がついてしまった。

 わざわざ今更ここで告白して見せるまでもなく、もう疾うにバレてしまっているのかもしれないが、私は自己陶酔に入るために、親しみを寄せてくれる女性を遠ざけ、絶対に歩み寄ってはくれないであろう女性に好意を寄せるということをしている。本来、思い出したくないはずの、そっぽを向かれた経験などを何度も思い返して、

「やめてくれ、やめてくれ」

と口では言いながら、その実、喜んでいたりするのだ。

 そして、それら必ずそっぽを向いてくれそうな女性を間違いなく択ぶことの出来る基準が、その女性の目なのだ。つまり、相性が合わないと一瞬で分かるという目の性質を、ここに歪んだ形で応用しているのだ。逆に言えば、私のことを快く思っている女性の目というのは、物凄く怖い。