感情も大きく外に表さず、淡々と進み、機械的にも思えるほど同じことを何度も何度も繰り返す人を見て、
「人間臭くない」
と評することがあるが、その実これほど人間的な動き方も他にないのであって、様々な気持ち、例えば倦怠あるいは無力感であるとかを、意思の力で払いのけ、習慣というところまで乗り上げ、その上で生に直接関係のない営みを延々と繰り返すなどというリズムを形成するのは、人間にしか成し得ないことなのだ。
つまり、通常、
「人間臭くない」
といって何がしかの嫌悪、恐怖を表すとき、それは、
「動物臭くない」
と言ってしまった方がより正確なのだと思える。
動きたくないときは動かない、欲望をコントロールすることなく思うままに放出する、生の営みに直接関係のないことはしない、などといった動物的要素の欠如が見られる人を、
「人間臭くない」
と評することにはかなりの疑問を覚える。