裸は不思議だ。なんてったって裸って、基本的には台無しなのだ。骨が浮き出ているし、味気ないし。でも、誰とは限らず、裸を追い求めている。それはそれはもう、すごい勢いで。

「どこに裸があるんだー?」

という具合に。ぶわあーっと殺到する。それで、目出度く巡り合う。ああ、これこそがあの裸じゃないかって。しばらく興奮する。こんなに興奮するものなんて、まあ他にもあるんだけど、それでも興奮する。

 その間も、実は裸って、ずーっと味気ない。骨見えてるし。そうするとやっぱりそのことにまた気づく。というよりそこへと戻ってくる。

「あれ? 何だこりゃ? 何でこんなに興奮してんだ?」

って。あの味気ない骨じゃないかって。

 そういうことって、普段は裸が隠されているからだよってことで説明される。

「皆が皆、普段から裸で暮らしていたら、興奮しないでしょ? そういうことなの」

って。そうか、それは確かにそうだ。じゃあ逆に、普段から皆が皆裸で暮らしている世界があったとして、そこで、特別な時にだけ衣服を纏うようにしたら、衣服姿に興奮するようになるんだろうか。多分ならない。だって、衣服は台無しじゃないから。大分骨隠れてるし。