「何やってんの?」という目線

 遊びというものは、

「何やってんの?」

という言葉、もっと言えばそれを含む目線を向けられただけで簡単に壊れてしまう。

 もっとも、遊びがその場で既に大きな力を持っている場合、あるいは、

「ここは遊びの場である」

という約束事の下に、沢山の人が集まっている場合は、そういう目線を平気で跳ね返していくことが出来る。しかし、そこまではいかない、しっかりとした約束事のない場での少人数の遊びの場合、そういった目線が大きな威力を持ってしまう。

 特に、成長するにつれて強まるのは、自分が、自分自身に対して向ける、

「何やってんの?」

という目線である。つまり、遊びを容易には成立させず、いとも簡単に遊ぼうとする気持ちを挫いてしまうほどに自意識が強くなってしまうのだ。

 よって、大人になった後も豊かに遊びを取り込んでいくためには、前述したように、

「これは遊びですよ」

という約束事が成立する場所を丁寧に拵えていくことが大切になる。と同時に、

「何やってんの?」

という他者の、それより何より自分自身の目線を、ニッコリ笑って見つめ返してあげられるようになる、あるいは意図的にそういった目線を無視できるような方向へ、自分を変えていけるようになることがもっと大事になる。それが出来るようになれば、あらゆるところが即遊びの場所と化すようになる。