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衒いのない拒絶

 それで合っているのかどうかは分からないし、その行為を真似しようとは思わないが、気高さのために、食物の提供を拒絶して死んでいく動物の姿には、何とも言いようのない畏れを感じる。

 その死に様が、他の死に様より優れていると思うからではない(死に方に上も下もないし、庇護しようとする者の行為を受け容れて、自身の生を永らえさせるのも、ひとつの、それ自体立派な生き方だと思っている)。その拒絶に、何の衒いもないように見えるからだ。

 動物なのだから心もあるだろうし、心があるのだから、衒いが生まれる余地もあるのだろうが、そういう気配はまるで感じられず、ほとんど自然の摂理に近いところで、その拒絶が行われているように見えるのだ。

 たとえば、もし私が、同じような死に様であろうと思って、同じような拒絶を行ったならば、多分に過激で多分に滑稽なものが出来上がってしまうような気がするのだ。あそこまで涼やかに、自然なものにすることは出来まい。