破綻

 人の性質、中でうごめくものを描くとき、どのような種類のものを集めて持って来ようが、破綻しないのであろうか。なかなかどうして、こんなに人のことが分かるのかという描写から、こんなにハチャメチャな人はあり得ないだろうという描写までいろいろに眺めてみて、そういった両極端から、そのグラデーションの間のどれを取ってみてさえ、人間というものがちゃんと成立していることに驚いて、こういうことを思った。

 例えば、物の理、時系列の問題などは、しっかりと整っていなければ破綻してしまうこと必至であろうが、人間の場合だけは、どうもそうはいかないように思える。想像力で、乱雑に散らばった点々を、どうにでも繋げることができるからであろうか。いかな想像にも適うぐらいに、人間というものが元々メチャメチャだからであろうか。