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時間を持たない

 過去とか未来とかいうものが脱落し、今を生きていた時分のこと、他人は、私に対してひどくイライラしていたり、私のことを精一杯嗤おうとしていたり、何とか発破をかけて、過去や未来と繋がりのある、

「時間を持った世界」

に引きずり戻そうとしているように感じられた。つまり、

「今を生きる姿勢」

を快く思っていないように感じられた。

 イライラしたり、発破をかけたり、嗤ったり・・・。形は異なるが、それらの発する源はおそらく同じで、過去という華やかな乗り物、あるいは重い荷物を持っていなかったり、且つ、未来にある一点を設けて、現在の地点との間に線を結び、その線上に沿って歩みを進めていなかったりする人、つまり、現在という空間に、考えられない重量感を持ってどっかと腰を据えている人に対する、混沌とした違和、不安、疑問などから、これら様々の態度が発せられているように思うのだ。

 だから、今を生きるということがひどくポジティブな、好意的な目標として迎えられていることにはやはり疑問を覚える。それが自身であれ他者であれ、

「今を生きるという姿勢」

に対する処し方が分からず、戸惑っているではないか、怒ったり嗤ったりして、何とかそういった姿勢の他者を(あるいは自分を)振り払おうとしているではないか、と思ってしまう。過去や未来との繋がりが見えない、今を生きている人のことを、本当は苦手と思っているんじゃないか。