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信用

 良いんです、私は信用していますから。彼は言った。おかしいな、信用というのは不実によって破られるのではないか。また、意地の悪いことに、それが破られるに足るものであることを確信してここに来たのだった。

 しかし、彼は動かなかった。揺らぎもしなかった。それでいて、硬直しているという感じも見せなかった。笑顔には、柔和な光があった。

 傲慢も甚だしいが、不満を覚えた。それは信用ではないのではないか。言葉が喉元まで出掛かった。あまりに恥知らずなことになるので、危うく引っ込めたが、それは盲目的作法ではないかと思わずにはいられなかった。

 継ぐべき言葉が見つからず、ごにょごにょ言いながら退散した。遅すぎる反省を回転させる。

「人と人との絶望的な距離感を考える以上、信用とは即ち盲目的になることを言うのではないか。それを承知で、それでも他者に対する最高の称賛を示すために、その立場に没入しているのなら、それは盲目的ではないかと私が後から指摘したところで一体何になろう・・・。」