浸透

 見慣れただけで、分かった訳じゃないのかもしれない。恐らく、未だに分からないことの方が多い。しかし、見慣れるとはどうだろう。何かの感覚、雰囲気を掴んだような心持ち・・・。

 大体こうである、根底で鳴っているものはこれであるという、動かし難い直覚。それ以降はその感じを基において、次々に詳細がその上を通過していくような気配。縦横に動き回らせるだけの頑丈さを持った基盤。

 肯定・否定(あるいはそのどちらでもない)の運動を徹底し、解釈を拒絶し続けた上にも尚、いやむしろ、その一連の動きによって明らかになるもの。確実にこの色であると言えるような気しかしないのだが、それが何色であるかを示す言葉がない、いや、色ではない・・・。