<30>「分解される花」

 とぷん・・・ボコボコボコ・・・。口を開いちゃいけない。腹、腹、腹。何も知られていない。しかし、探してはいる。俺にはこんなによく分かるのだが、口を開けられないので仕方ない。どうして呼ぶのだろう。いや、呼んでもらった方が良いのかもしれない。けれど、ここに潜っていなきゃ、何も分からないじゃないか。おーい、おーい。ふっと力を抜くと、つーっと上に引っ張られていく。危ない危ない。顔だけでも出した方が良いのじゃないか、大丈夫なのか? 大丈夫ではないかもしれない。そもそも大丈夫などというような問題ではないのかもしれない。顔を出すとしよう、皆と一緒の場所へ戻るとしよう、しかし、それは結局、皆にとっても私にとってもマイナスだ。いいかい、忘れておくれ。呼ぶのを諦めて、戻っておくれ。いつまでということすら考えずにいたいんだ。ほら、早く早く。