<44>「どう溶ける」

 面白くないと言う、うん、それは主観だからしょうがない。しかし、のめっていないからではないかと思うこともままある。ただ、忘れてはいけないのは、のめる義務なんかないのだということ。自分だって、義務感からのめっていった訳ではなし、楽しいからのめっていったのか、のめっていったから楽しくなったのか、今ではもう忘れてしまったが、とにかくも、のめらなければいけないという強制はなかったということ、それに、そんな強制があればのめってなんぞいなかったろうということを、忘れてはいけない。けれど、のめらねば面白くはないだろう、のめりさえすればね、さあどうする、口数は少なくなる、何とも言えない曖昧な表情を浮かべる。

 こういうことと似たようなもので、調和のことも同時に思い浮かべる。最低限のマナーに属するぐらいのものならば、守っていないことを指摘しても別に構わないのだろうが、あまりにも自分の中での調和の基準がきつくなっているものになると、それを相手にも要求するのはおかしいということになる。例え、それに従うことによって相手もよりスムーズに動くことが可能になるとしてもだ。日を追うごとにきつくなる調和のイメージに、他人がついてこなければならない理由がない。だが、その調和にそぐうていないとムズムズする、そして、口数は少なくなる・・・。