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 道徳的であるとか、良い人間になるとかが、厳密に言えば達成不可能であることを知っている。だからその完全なイメージと比較することで自身を苛むのが不毛であることも分かる、分かるには分かる、がしかしだ。そういう基準を放棄し、梯子を外すことには、何かが違うという感覚が付き纏う。であるから、辿り着かないことを知りつつも、一応登っていたりはする。それは、ときに投げやりであったりはたまた真剣であったりする・・・。

 良い人であるという誇りに酔いしれている人に対して何の近さも感じないし、いや俺は悪者だからさと、一見開き直っていて潔いかに見える人にも、何の共感も覚えない。そして、自分にそういう面が現れた一瞬には、強い嫌悪を感じる。盲目にもなれず開き直れもせずに呆然としている人に向かって言葉を叩きつける人たちの醜さを見ていられない。ハッキリ分かると思っている人たちが苦手だ。