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 細かいことを執拗に憶えていきながら、もっと忘れて、それも勢いよく忘れていっていいんじゃないかと強く思っている。ただただびっくりした。どれもこれもだ。そりゃあ日常的に触れてはいたが、出会うもの出会うもの、全てに自分の顔を見るとは思っていなかった。エントランスに映る自分の止まった顔が、騒がしいほどにもぞもぞ蠢いている瞬間を見逃しはしなかった。

 最初は、下の台が木像を動かしているのだと思った。いや、違う。どくどくとした流れが表面を駆け、こちらに向き直ろうとするはずがないだろう。しかし20体ほどあるうち、動いたのはあれだけだった。

 せいぜい15、16コ程度の色で収まっていると思っているところへ、それは組み合わせによって千にも万にも拡がる。ついには統一するということを諦めようとして、もっとも、最初から統制は取れてはいないのだが、しかし一応15、16コに落ち着けようとする感覚が起こる。それがたったひとりだ。代表してそれらが表面に出てきているだけなので、中は豊富だ。それが触発されるかされないかという問題だけがある。