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 通りを雨が誘った。限界まで落ちきって、糸の流れ、あの人を打って、とまれどうしようもなく、角に、湯気に。ぼくが進んでいるのはどういうことなんでしょうか。どういう事でもないと、そうしてざっと上がる、その瞬間が分かるから、でも・・・。陽に照らされる水滴の中で舟であることをやめなかったひとりの男は、コツ、コツ、コツと指を置く。一体何に照らして、もうであったのか。

 (もうダメかもしれないという優しいつぶやきが・・・)

 何かにかじりついているものと、その結果を見て呆然としているあの人と、どれほどの差があったというのだろう。差を見る動き、当たり前のように見えてもどこまでも無理があり、ひとつの夕べ。降ったり止んだりしてしまうことが何の状態変化にも思えなくなるくらいには曇っていて、あの歩道では・・・。