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 見失った人、それは・・・。全員が見つめるなか、ついに張りつけずにいたその一滴が、落ちる、いや、落ちない、いや・・・。見失った目、その焦点の定まる場所は決まっている。何故だか同じところを見ている。目を合わせちゃいけない、見てますか? 覗き込んだらもう終わり、しかし、覗かせてくれ! 絵筆を放り投げ、一目散に逃げていく。なかれ、なかれ、泣かせるねえ、ぼくはどうしても君を見たいと思っていたんだよ、ポタッポタッ。観衆が殺到し、遠慮するように乾燥するひとりの男。その浸透がまたあるひとりへ渡ったことを確信しながら、わざと失敗したような表情を浮かべ、照らすことをやめて少しだけ微笑んだ。道理で君には感想がないんだ。捉えられただけの混乱を素直にさらしすぎているので、それは破廉恥にも傲慢にも取れた。どちらにも取らない奴がどこかで見ていることを頼りにするような気持ちが、ないようであった。あったということが分からなくなった。