<94>「じねんジ」

 説明して整理して説明して整理して、コイツはこういうんだ、どうだい、そうだろう? まあ一杯やらねえかい?ってなもんでね、どうやらそうだ、あそこでも顔を出したろう? そりゃそうさ、顔を出していないってことの意味が解らねえや、あんたをちゃんと紹介した方が良いんだ、あんたは形を持ったね? それは俺がやったのかい、もともとかい? 元はと言えば不遜な願い、そういうのは持つもんでねえとお前さんが言ったんかいそうかい、そりゃくだらねえやな、もう帰ろうってなもんで、誰が待つ、俺が待合室にいることがよく分かったな、解らねえって寸法がねえやなってあんたはそう言うかい? 良い面ぁしてやがりなさるねえ、俺はホトホト嫌になったよ、むろんお前さんの方でもこんな出方は望んでいなかったかもしれねえがね、ねえさあ、どうして出番というものがあるのだろう? 出ずっぱり、ずーっと続けて出るのだとしてもね、まず出番がなきゃいけねえやな、舞台から退かないことは可能かい? つまり出番は退場を条件としないのかってことだよ、そりゃどうだろう、俺はそんな奴見たことないからね、あそこの後ろの方で座ってるだろ? きっとあいつにも出番はあるぜ、そら見ろ、引っ張られた、おっと、俺がやったって言うのかい? どうかな、そんなことが出来るなら俺は出さない方を択ぶような気がするよ。