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 一個の人間に対して、出来事が多すぎやしないか。こんな量をとてもひとりで経過してきたとは思えない。矛盾するようだが、自分より若い人に向かって、知識とか判断力ではないところで漠然と何か、

「分かっていない」

と感じるとすれば、それは、自分より若い人の世界が、より分かりやすい世界だという理由に拠るだろう。つまり、本当はもっともっと混沌としていくんだよ、という思いから来る、分かっていない。もっと分からなくなっていくということを、

「分かっていない」

ということなのだ。それだから、子どもの一言にハッとさせられ、何かに気づかされるというのもある意味では当然だ。勿論、知識量は劣るだろうが、要素、出来事が少なく、見通しは利きやすいのだから。