読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

<209>

 眠さのあまり、とろやかに死んでしまった。よく触る左手よ。ゴツゴツと、いくらか軽やかになっている夢の身体の、昔はとても重いこと重いこと。懐かしさが現れ出たとは思えない。いつも同じ範囲に収まっているからだ。だから懐かしさがいつでもない。しかしかなり隔たったところで、全く関わりがなくても当たり前、あるいは明日からまたその生活が始まっても、違和感というものは、一応表明した方がいいという意識(気配り?)によって出されるだけだ。懐かしさとは、忘れていたことではないだろうか? 忘れてはいないことの忘却、そして忘れていないことはやはり懐かしくはないのだ。