<244>「もうひとつの太陽を放る」

 どうにもならない太陽が、黙って捨てられた。火を強制しろ、道を照らせ。照らされたその表情の上を、静かに歩く。ぼくはその遠い遠いところから来るのを控えていた。遠慮することではないさ。朝が快適だと囁く、その声は高いところを渡って、いつまでも落ちない。自分がむさぼったものはいつか返さなくてはならない。それでこそ腹は裂けるのだ。よう、そこまで綺麗でない? それがどうした? 招こうとしてもその通りには訪れない、涼やかな長い動きを、待つともなく待っていればいいのだ(待っている間には、待っていないときが含まれる?)。

 会わないはずのものが合わさって、やさしくへりを撫ぜる。ぷすっ、ぷすっと弾み、何を話し交わしたらいいか分からない。当然だ。だらしなく垂れた腕から、もうひとつの太陽を放る。もう少しだ、もう少し待っていてほしい・・・。