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 門を叩く。どうぞ、客であることを言わなければ、私は客ではないのだから。これから先も、これまでも主人が誰であるかということは言わなかった。招ばれてなくても来ることに何らの抵抗もない。むしろ驚きの表情の中には嬉しさが見え隠れして、何も出さないうちに出涸らしの茶、ひとなめ、ひとなめ。帰宅の隙を窺わない一匹の鯛は、ひとはね、ふたはね、軽々と塀を超えて、調理夫がそらやった、雇われがそらそらやった、うわあああと危機のない混乱が拡がって、どん。門を辞した私の顔を見よ、何にも可笑しくないという顔で微笑んでいるではないか。ナイス。毛頭今回もひととび、思った通りにふたとび、みたび成功する宿泊の儀。