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 間違えられた囚人は、獄舎の中で森を食んだ。長たらしい沈黙の後で、靴音に似た音すら聴き取らない項垂れた拒否を、落胆の跡と見るのは当たらない。

 勘違いの窓辺、看守は緩やかに己が捕らえられていくのを感ずる。そろそろと俯いた顔を覗き込み、まるで視線が合わないことを受け容れない、否、受け容れたくない。誰とも取り合わない、もはや拒否すらない顔を眺めることは勿論不可能なのだった。両の肩を粘っこく捕らえ、離そうという考えの浮かばないほど優しく動くその節くれだった手は、解決のない合図のようにして全身を震わせた。