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 難解も繰り返されて、今度会う日の峠が徒に、夕暮れの到来を遅らせる。汽車は冷静に、あくまでも冷静に、夢を見ない夜を順々に辿り尽くす。ああ、鈍い響きを引きずって、ひとり、ふたり・・・。この夜に、歩みが僅かばかり足されることは一体何であろう。帰宅の容易、音が鳴らないばかりに振り返る。記憶の堆積が、ぼんやりと道を霞ませ、誰かの足跡をそれとなく伝える役目、そこにもたらされたものは私と深くを繋がった。盲目的な明かりの強さ、その雲散霧消。どこへというあてもなく、月は進路を失った。