<284>「無縁と時間」

 まるで無縁、無関係なものに対して全く無警戒でいるものだから、あっという間に距離を詰められてしまった。自分と対象とが一体になって、何故だかこの関係がどこよりも古いような気さえしてくる。それは、時間というものを持たないためか(つまり、今は、1億年以上の昔とも一緒である)。つい先程まで無縁だったと信じさせてくれるものは周りにほとんどない。記憶と、文字などのデータ以外には・・・。そこで、未だ無縁と思えるものを取り出し、それと関係を取り結び終えている未来というものを想定してみる。しかし、それは何か、動きのないつまらない遊びであるかの如く、こちらに何ものをも響かせてこない。

 結局、時間というものの無さあるいは、今というものの永遠性、両方向性ということなのだろう。

「懐かしい。前にもどこかで会ったような気がする・・・。」

初見でそう思うのは、今というものが、即ち過去(それも、どこまでも遠いものまで含む)でもあるからなのだろうか。無縁のものに今出合えば、それは遥か先で出合ったことと全く同じなのである。