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 険悪な雲の周りを、能天気な光が照らしている。光には、暗い雲という存在のことが分からなかった。見る力がなかった訳ではない、本当に存在しなかったのだ。その目には、他の存在として映っていた。雲は、暗さを映さないその瞳を批難する訳にも行かず、このやり切れなさをどこにぶつけていいかが分からなかった。いっそ、存在しないという視線に付き合ってみようか。やめておこう、そうしていればいるだけ気持ちが塞いでいくことになる。

 今にも、大袈裟な雨が炸裂しそうだ。耐えられなさが、これ以上冷たくならないというところまで冷たくなった。下へ下へ(それで、地面に足がつく訳だが)、てんでばらばらになって流れていくよりほか、逃げ道はない。

 地面への到達を、しかし目を細めて穏やかに見つめている姿を仰ぎ見て、何か、歪んだ眠気のようなものを覚えた。