<334>「不透明な空間の熱」

 心地良さと心地悪さが速やかに入れ替わって渋滞を作らない。何かが通り過ぎた感触と、興味のなさそうな風が流れ、捉えられたものを放り出す。いつまでも立っていてもいいが、そこには何も、本当に何もない。仕方なく、心地良さの痕跡だけを辿ろうとするが、反対のものとあまりにも密接で、それもあまり上手くいかないのだ。当然の如く晴れ、しかし何かしらの重さがあり、末尾に対しての警戒心は募る。焦るな、焦るなという囁きをよそに、一層の努力と出鱈目が起こり、場所を奪い合い譲り合いしいしい、不透明な空間をいやらしい熱で満たす。

 要請不可能な曲がり道、触れてひやりとし、またわけもなくざらざらと・・・。休憩においてひと唸りする風は、渋滞解消の原因であることを知らぬ振りしつつ、強くなったり弱くなったりしてみる。