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 ある範囲内まで接近すれば、その人は必ず止まってしまうのだから、周りの人間は、その人が何もしない人なのだと考えた。また、そう考えるのが普通だったし、非協力的だと軽く不満を覚える人も少なくなかった。

 何故止まってしまうのかが分からないので、他者にも自身にも説明のしようがないのだったが、同じ性質を有する者は、もしや?と思うだけは思っていた。だが、全く違うかもしれない、ただただ非協力的であるだけかもしれない人に、突然のこの停止の感覚を説明して、

「あなたもそうなんですよね?」

などと言ってしまえば、多少困ったことになるのは私の方だろう。しかし思い切って説明してみたとして、上手いこと二人ともが、

「そうだ、そうなんだよ!」

となった場合、つまり同じ性質だということが二人の間で明らかになった場合、それは何かの解決になるだろうか。いや、解決にはならずとも、せめてもの安心ぐらいにはなるのだろうか。ただ途方に暮れる人と時間とが増えるだけだったら・・・?

 ひとりになれば何でもやるくせに、ちょっとした集まりに加わると何にもやらないで、ただ怠けているだけにしか見えないのだが、それは一種の停止状態に陥って呆けているだけなのだ、という馬鹿みたいな話があるのだった。それは特に準備や片付け、計画といったところに顕著に現れるのだったが。