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 君は、ここに立って、数百数十年の重なりを聴いている。

 君は、ここに立って、数百数十年の、静かな流れを、集まりを、蓄積を、その胸に納めている。

 秘められた、その言葉のために、いちどきに、数百数十年を語り出せ。タイミングなど、問題にするな。私がそうしたように、あなたが、語り出せたら、君が、語り出せたら・・・。

 あるときは朗々と、またあるときは訥々と、どもりながらでもいいから、何かの代わりではなく、その音の全体に全的な共感を覚え、奔流の賛美者となって語り出せ。なるべく、誰も聴いていないという素振りで、なるべく、ここから遥か、遠くにいるものに向けたつもりで。後ろを振り返らない一滴となり、君は、暗闇のなかから、無言の歓喜、称賛を見つけ出す。語り出すことで、一度もおそれを外せないのだとしても、その短い時間を越えないで、ひそかに語り出せたらいい。