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 ザワザワザワザワ言う声が、生滅を暗示している。いや、それは生滅そのものかもしれないが、プチプチと、盛り上がった、と思えば、次の瞬間には消えている。それは、大胆な拒否であろうか、反発であろうか、ただの快哉であればこそ、ゾワゾワと内側から立ち上がったものにううと唸りをあげて停止しちまうのは絶頂であっていいのかもしれない。が、いやさてさてもっともっと鈍たいもののように感じるのであった。

 ここまでは大丈夫だったのに!と、思っても駄目である。大丈夫という事実は一瞬間だけを愛している。波立つ予感に呆れ笑いをこぼし、早々に持ち場を去る。非難しちゃいけない。波になったらそれはもう短い一瞬ではないのだから。どこかに動かなければいけないという意識、その意識という意識が、駆け巡られる事実に射竦められたのか、ビタリと止まって動かない。