<415>「均衡と」

 自らの有り様が、不問に付される立場には、決して立たねえ方が良いやな。その立場が悪い訳でもなし、そこに立ったからといって堕落が始まるとも到底思えんが、それはまさに有り様の問題、どうありたいかというところにだけ関係してくるってえもんさ。

 どちらかにハッキリ振れてしまいてえと、思わない訳じゃあないが、身の潔白もいまいち証明出来ず、かといってとことん悪くなろうなんて思わず、とても良くあることは出来ないが、良くなろうと思わないではないというところで、上手くバランスを取ろうとするんでさ。均衡状態てのは緊張だ。バランスを失っちゃいけないね、そうだろうよ。