<472>「呼吸がにやにやする」

 出口は様々に拡がっているが、それらを部分的に(しかし幅広い範囲に亘って)固めていく。何故かは分からないが、固く埋められた部分は、その固さ自体もさらに増していくように出来ているらしい。そうか、すると、徐々に動きが制限されていくということだが、気づいたときには、通常の6~7割ぐらいの動き方が既に始まってしまっていて、どうすることも出来ない。

 そこで、煮えたぎる内側へと、一旦降っていくことを決めた後は、ぶつぶついう騒音を耳に収めながら、ひたすら固まっていくものどもをじいっと下から眺める日々が続くのだ。これら固さが、いつかまとまりになってぼろっと落ちることが分かる(そういう固さとして最初から現れているのだ)。それだからして、この制限を呑気に内側で、茹で上がりながら眺めているのだろうが、さて、全体が動きになる予感とともにあるその喜びは、妄想の域を超えないのだろうか。私には、呼吸が、にやにやとした笑いをも届けているように感じられるのだった。