<474>「緩慢に」

 おそらくはただ、ここで悲鳴と聞こえているに違いないが、影響を受けるのがこちらであるとして、そのメッセージを投げかけた当の者は、何がしかの苦痛を背負っているのだろうか。それは、勿論そうであろう。大体が、悲鳴を発する者と受け取るこちらは、地続きではないのだろうか。ただ、その暴走の名残りを見、それ相応に嘆じていく必要はないのかもしれない。ともかくも、それは一応済んでいるという印の数々なのだから。

 事を急き、見た目には解決した、という形で終わらすのが習い性になっているらしく、徐々に徐々に、にわかにはその変化が確かめられないような形で動いていくことになかなかのもどかしさを感じているらしい。しかし劇的に解決するためには、むしろこちらの道を通らなければならないことがよく分かるので、この歩みの供として、デロデロゴボゴボ湧き出す奇っ怪な生きものの想像を用意してみたりもするのだ。自分自身が、変わってしまったことに気がつかないくらいに、ゆっくり、ゆっくりと・・・。