<477>「空洞の、響きに沿う」

 まだまだ景色を教えたいと、曖昧な空気が言うのでしょう。どうしてだろうか、私はとても眠い。これは、歓迎だとか、拒否だとかに関わらないことだと思えるのですが、いやはや、静かな移動の距離だけを、見せてください。

 大きな空洞には、否定のニュアンスがないのですが、穴があればそこでは何かが否定されたのだと、さて誰に、何処で教育されたのでしょうか。空洞に光り輝くその玉になど、土台違和感しか覚えません。

 ので、落ち着けるべきところをまず、失うところから始めたのならば、いや、最初からそんな場所とは縁がなかったのならば、惑いであることを承知する以外に、何か他の仕事があるというようには思えませんでした。

 やや少し、傾きかけてきたものを、無感情に直す。それですが、ひたすら泣いているものに直面したとき、態度を細かく取り過ぎて、全く動かなくなったも同然のところまで行きました。渡すものは、ただのひと動きです。

 後悔を抱くにしては、過ぎ去った景色を、まだ同じものとして憶え続け過ぎています。なかには、積み重なったものが、思考の跡を少しだけずらすのかもしれませんが、驚きのない映像は、私を離れていない証拠となるのです。