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 これだけ用意されていても、全て嘘だから、一切反応しないでいると思う。ただ、反応しないことによって、身という身が硬くなっていくのだが、実はそれも嘘だから、さて私はどうしたらいいだろう、というのも、最初からどちらに動こうが嘘になるように仕組まれている場所で、何かしら本当のことを目指そうと考えること自体が、滑稽なほどに無理なあがきであったからだ。

 すると、およそ反抗という言葉と共にイメージされるのとはまるで違う形で、あっちゃこっちゃぐい、ぐいと押し返していく格好を取る訳だが、通常それは、ただの柔軟体操と取られるのがオチだ。しかしそれで良かった。私にはこの運動が必要なんだという頑迷さが、身体の一番硬い所からをほぐしていく。

 知らない場所でもともかく動き回っている事実を確認しなければいけない。何かを知っていなければいけない、あるいは、知ってからやらなければいけないという話を、ある程度疑ってかかる必要がありそうだが、用意はしながらである。荷物を持ったり下ろしたりしてみる必要はありそうか、いやなさそうか。いずれにしろ、軽快なステップは、恐怖心を除け者にしない。辛抱強く踊りを待っている。それは、夢を見ないからでもある。