<503>「異形」

 だしぬけに、抉り出されたものの顔をしている。お前はそういう顔をしている。憤りに似たものが、一瞬で全体を駆け巡ったらしい。この瞬間に、選び出されるはずはなかった。そんな突拍子のなさは、選択にすらならないと思っていた。だが、慎重な迂回は、執拗な往復は、かなり時間をかけたにせよ、この場に、形容しがたい表情を生む。

 点を見るでなし、形を見るでなし、それは、どこまでも連なる驚き・・・。立つことから、立たされることへの移動。純粋な役割、それは何か。穴であること、そこに、うがたれるものであること・・・。

 響く、輪の音、方向のなさと、彼方への拡がり。中心で、気づかなければいけないことは何か。ここで、例えば、発さなければならないことは。お前が見ろ、そうだ、そこがある意味、機能でしかないと分かるなら、お前が見ろ、と。明暗を失って、ここから先はいやに綺麗であると。ひどく混ざっているものほど、緊張して、よく読み、よく見るのだと・・・。