<509>

 これだけ重たく、だるく、憂鬱さを覚えるのは、体力が、溢れるほどにあるからではないのか。ただその日を耐えるだけで精一杯だった期間を経て、そう思った。次第に元気になってきたとき感じるのは、

「体力を、暴力的に使い切りたい」

という欲望だった。あるに越したことはないのだろうが、あったまま使われないで保持されているだけだと、体力の横溢は逆に負担になる。

 十代の頃、多少格好をつけている部分もあったのだろうが、確かにそう感じて、

「だるいだるい」

と言っていた、あれは何だったのだろうと思うことがあった。身体など、一番動く時期であったろうにと。しかしあれは、自らの有り余る体力に逆襲されていたのだと言っても良いかもしれない。体力を使い切ることが出来さえすれば良い訳なので、歳を重ねれば重ねるほど快活になる人がいても別に不思議なことだとは思わない。使い切るというハードルが徐々に下がっていくからだ。