<511>「泥酔と叱咤」

 泥酔の底から、この空を仰ぐらしい眺めの、なんと見事なことだろうか。私は、ここまでの驚嘆を明日に返したことがない。

 引きも引きながら、休息を、ものものしく貰っていくのだろうか。物凄い雨が、いくつもの見解を隠す。くらくらしていくらしい。まさか気持ちが、慰めを無表情に飛び越えていくことを知れる。

 提出された風景が、やけに小さく見える。が、これがあの日と全く同じ大きさであることが、誰に言われないでも分かる。見くびってもらっちゃ、私だって、砂の味を憶えているから、心持ち、灰色や黒であれば。

 とんと静かに、とんと小さく、緊張しているものたちのひどい歌、ほぐれて、人々の視線を、頭上を、平面で渡ってゆけ。渡されるものなら、もう一度数えて大丈夫だから。何故、この節を、感慨もなく忘れないでいるのだろうか・・・。

 ひとりでに過ぎてゆくものたち。ひとりでに、過ぎたものたちの、警戒と踊り。名のある場所から避難して、天候を回転させよ。眩しさのなかにいくばくかの遠慮。その表情が、私を叱咤し、滞らせる・・・。