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 時折ここで、重なっているように見えるもの。その足で、滑っているように見えるもの。まだ、乾燥気味の空気から抜けきることもせず、後ろを振り返り振り返り、投げやりな態度が地面に映っては消える。

「どこまで戻ればいい・・・」

いや、戻るのではない。ピタリと正常値にとまったような、気がするだけの変な時間を過ごし、やたらめったら考えを動かしてみる。これは、およそものを考えるということのなかでもっともその本質に近いものであり、またもっともめちゃくちゃなものである。

「自信がありますね・・・」

事前に持っている自信などは大したことがないのかもしれない。発するまで、自信なのかどうかも分からないものが一番の安定感を誇っている。これは笑っていいことなのか。どう出るか分からないことに対して、その後に笑ってみるというのは、子供的で、自然な素振りで好きなのだ。

「では、こういう歩幅はどうでしょう?」

誰であるかということを問わず、惑いであることから身を離さず、情け深い検討に咲くもの、それは、またとないこの夜を越えて、生暖かさのなかで明日を眺める姿勢となる。

「ああ・・・何という感覚の数々・・・それがいちいち私に似るのでしょう」

こちらに似るものは、数えられることを必要としない。