<548>「当たり前の日、どこかの」

 その日は、当たり前の天気だった。当たり前の天気がどんなものか分かるだろうか? 私には分からない。長らくこのままでゆき、おそらく全体を把握しえない日となることをぼんやりと考える。あの匂い、異常な暑さのなかで共に立ち昇るもの。諦め、からかい、涙目と揺らぎ、このところまだ雨という話を聞かなかった。

 ひとつの瞬きが、不透明な合図となり、このまま跳ねていくことが出来る。馬鹿げているだろうことども、のこのこ、ここへ曲がってきていいかしら? 何かしら、ここには刻まれたものがある。それに対して熱もなく、冷めていず、感情から縁遠い街なか、悲しさを、よくぞここまで全体に引き伸ばしていることと思う。

 やあ、そこを行くのは、表裏一体の笑みではないか! この顔と、この意味と、ひとつ残らずかき混ぜて、不敵な関係性から現れてあなた。慎重さが、不変の態度であればあるだけ良いとつぶやく。その格好に急ぎの夢を、見ていてほしい。ああ、ぼんやりしていてこのことを思う頃には、ゆったりとしたものがそろそろ歩みとなる。