<553>「只中」

 お前にもどうやらこれが別々のものであることが分かってきているらしいな。しかし事前にいろいろと考えていることが直接に繋がっていないだけなのも徐々に分かってきているらしい。まず、何がしかの出発点があってそこからどこかへ向かって伸びていくと考えること自体がまあ間違いだとまでは言わないが、それでは上手く当て嵌まらないことに気がついたのだろう。どこかに出発点があると考えるから、

「あれ? そうかもう始まっているんだ・・・」

という言葉が出るのだし、もうという言葉、それは一体全体何なのかという疑問を口にするのを忘れさせている。始まりだとか終わりだとかが見做しであることをもう一度考えてみる。つまり、流れていることにはそれだけのことしかない。ああ、ここで今日は終わったのだなと、一応は思っておかなければならない(本当にそうか?)。ただ、ぼあああと拡がるもの、あれよく見たら拡がっているようには見えないもの。とても周囲との区別がつきにくいもの、丁寧に計ってみせて失敗しているものそういったもののいちいちが無理をして見てみる愚を嘲笑っているかいやそういった笑いには出会わなかった。また、出会う必要もなかった。この間だけそれは一旦姿を消したかのように思えた。ただ、それは視力が言うことだ。ただ視力だけが・・・。