<554>

 答えというもので何かが、いや何もかもが確定してしまわないように、疑問を提出しているのだと言ってみた方が良いかもしれない。つまり、答えは今欲しい訳ではない、だけでなく、永遠にいらないのだ。よく、

「答えを求め続ける」

と安易に言っていたりする場面があると思うが、答えという確定の仕方を拒み続けるあり方が、途切れのない疑問の提出なのだ。どこかへ向けてゴールを目指して進んでいるのではなく、確定したように思い込んでしまっているもの、動けなくなっているもの(それが自分であれ他人であれ)を丁寧に剥がしていく揺り動かしていく、そうしないと気持ちが悪いからそうしているのだ。

 答えを出さなければならない固定しなければならない、と考えている人には、疑問を出し続ける姿勢が、

「答えをいつまでも先送りしている」

ようにしか見えない。そしてそれにイライラしている。しかし、答えを先送りしているのではないのだ。答えを、答えなどという嘘を順番に剥がしに行っているのだ。それは、ある意味迷惑なことかもしれないが、その嘘が、ありとあらゆる嘘の中で一番変なもののように思えて気持ちが悪いからそう動かざるを得ないみたいなところで、習慣よりの性格だろう。