<591>「隔たる眼」

 やさしい目。長々と見られながらこの間回転と、その方法。特別この待ち合わせを、唐突に用意した訳でもない。だが、訪ねる人は皆、用件が急に生まれてしまったかのような顔をして、こちらをうかがいながら足早に過ぎ去ってゆく。

 あれ、これは、あなたが閉じ過ぎているのかな? それとも、その判断は明らかに正しいから、それで私も他の人も怒っているのだろうか。多分、ここいら辺の扱い方がまるで分からず、遠いものだと決められてしまって、また眼差しがそういうものへ変わったのをよく憶えている。

 見えづらいものだ。その見えづらさのほとんどが、私であること、そんなことは認めたくないのだ。だが、よく分かるのではないか。露骨に開いているもの、それさえも、やはり閉じてしまえば、さらに疑いと惑いとを濃くしていく。良い方法かどうか、それは私も知らない。