<614>「重なりの強さ」

 これはとっくに打ち倒されているのだと思った。徐々に徐々に上手く動くようになっているのはよく分かるのだが、この瞬間を絶対だとするならば、どう見ても倒されている。だからおそらく、ここを絶対にもしないこと、ここを瞬間だとは思わないこと、これだけ壊れているとどうなるかというようなことは、今は考えの外だ。いとも簡単に歩いてしまえることに対して戸惑う、それは私にも分からなくはない。今度また会えればいいじゃない。見せられたって何思うのでもないのよ。なるほど行動もどんどんと笑いたがり泣きたがりの人々に囲まれていく。

「いつまでもいつまでも座っているというのは不思議とすごいのではないか」