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 通り過ぎたはずのもの、克服したはずのもの、ぬうと立ち昇る姿、あれは、私と同じ顔ではないのか。忘れていたはずの、自分はそうではなくなったと信じていたはずの、そのかたちがあまりにも似通っていると、対処はだんだんと怒りに、しつこくしつこく近づいていく。おれはここから、引き離されたのだと信じさせてくれよ。その言葉だけが出ず、あじきない文句が徒に、漏れ出で場所を選ばない。

 あたらしさはどこの味方? あたしには、振り払えないものだけがあるの? 去った去らないの、争いのなかから抜け出せないのだろうかそれとも、そこにこそいるべきであるのが私なのだろうか。

 消えたと思った表情が、次から次へとここから外へ現れて、

「あれ久しぶりですか」

とトボけている。あの、あのな、随分と言ってやらねばならないことがあるぞ(本当にそうか?)。私は言われなければならないのではないか。